【労働生産性=GDP/就業者数】労働生産性を計算してみる

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労働生産性の求め方

Work

色々なところで話題になる「労働生産性」日本ではその低さが問題視されていますが、そもそも労働生産性って何?よく考えたら謎です。何を表している指標なのか。と言うことで、実際に労働生産性を求めてみました。


ちなみに日本の労働生産性が低いのは、よく日本の働き方が非効率だから、と言われますが私はデフレで不景気だからだと思います。以下の計算でわかりますが、「労働生産性=GDP/就業者数」です。景気が良くなってGDPが伸びなければ、少なくとも計算上、指標としての労働生産性は伸びるわけがないと思いました。なぜGDPが伸びないかというと、デフレで総需要が落ち込んでいるからです。総需要が低下しているのに、生産の効率を上げても逆効果です。たくさん生産できるということは、たくさん消費できる、つまりたくさん需要があるということの裏返しです。効率をあげるよりデフレを解消して総需要を増大させることが必要に思います。


労働生産性=GDP/就業者数

まず労働生産性がどのように求められるのかを見てみましょう。ニュースで労働生産性の低さがとりあげられるときに、よくデータが引用される「日本生産性本部」のホームページを見てみます。

労働生産性を国際的に比較するにあたっては、付加価値をベースとする 方式が一般的であり、労働生産性を

 労働生産性  =  GDP / 就業者数 (または就業者数x労働時間) (購買力平価(PPP)により換算)

として計測を行っている。

日本生産性本部 労働生産性の国際比較PDFより http://www.jpc-net.jp/annual_trend/annual_trend2015_3.pdf

という事で、労働生産性、とは、

購買力平価で換算したGDPを、その国の就業者数で割ったもの

になります。
購買力平価(PPP:Purchasing Power Parities):経済活動を国際比較するために,国家間の物価水準における差を除去することによって,異なる通貨の購買力を等しくする通貨換算率。)

1.GDP

ちなみにそもそもGDPで何がわかるかと言うと、その国の経済の大きさ、そして生活水準です。なので、経済を見る指標としてGDPはとても重要視されています。

例えば、2014年の各国の購買力平価GDPは、

  • 日本     4631
  • アメリカ 17419
  • 中国       18030
  • イギリス     2524
  • ドイツ        3689
    (10億米ドル)
    (総務省統計局 世界の統計 2016 第3章 国民経済計算より http://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/0116.pdf#page=59

と言う感じになっています。とはいえ単純にこのGDPの大きさだけで、一国の経済の良し悪しはわかりません。様々なデータを参考にしながら経済学者は経済を見ています。例えば、GDPをその国の人口で割った、「一人当たりGDP」などの指標もよく使われます。

2.就業者数

次に就業者数。「就業者」とは、統計局によると、

就業者とは、調査週間中,賃金,給料,諸手当,営業収益,手数料,内職収入など収入(現物収入を含む。)になる仕事を少しでもした人。

統計局ホームページ 統計表で用いられる用語,分類の解説4 よりhttp://www.stat.go.jp/data/kokusei/2005/users/yougo/yougo4.htm

となっています。

で、日本の2014年の就業者数(統計局労働力調査 長期時系列データ http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/zuhyou/lt01-a30.xls)は約63,500,000人なので、計算すると、


労働生産性 =

4,631,000,000,000 / 63,500,000 = 72,814ドル


となります。よし。

結果

これで合ってるか見てみます。日本生産性本部の概要によると、

2014年の日本の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)は、72,994ドル(768万円/購買力平価(PPP)換算)。

日本の生産性の動向2015年度版 概要 http://www.jpc-net.jp/annual_trend/

となっています。

計算した結果が72,814ドル。

対して日本生産性本部の数値が72,994ドル。

なので、計算としてはほぼほぼ合ってます?よね。よしとしてください。

もう少し実際は色々考慮しながら計算されるのだと思いますが、こんな感じで各国について「購買力平価GDP / 就業者数」を計算して、順番に並べていったものが、最終的にこの図になると言うことだと思います。

日本の生産性の動向2015年度版 概要 http://www.jpc-net.jp/annual_trend/

日本の生産性の動向2015年度版 概要 http://www.jpc-net.jp/annual_trend/

その国の中で、仕事をした人が、その労働によって一人当たりどれだけの価値を生み出したか。これを比較することで、どれだけ効率的に生産できているか、どれだけ価値の高いものを少ない人数で生み出せているか、ということがわかるということですね。

労働生産性を上げるには

GDPを働いている人の数で割ったもの、それが労働生産性。しかし、と言うことは当然、

経済成長によってGDPが増減したり、また就業人口が増減したりすると、労働生産性は変化する、と言うことでもありますね。

これって経済状態にすごく左右されると言うことも言えます。現状の日本ではデフレですから、世界各国の平均的な経済成長率より日本の成長率は低いです。デフレで総需要が低下しているので、一般的に言われるような、働き方の効率UPではむしろ労働生産性を上げるためには逆効果ではないかと思います。景気をよくして、需要を増大させGDPを伸ばすことが、労働生産性を上げるために必要だと思います。

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